白黒思考を和らげるパステルゾーンへの移行

はじめに|「ちゃんと育てなきゃ」がつらくなる瞬間
「最後までやらせなきゃ」
「失敗させたくない」
真面目な人、子どもを愛する人、賢い人ほど、そんな想いがわいてきますよね。
あなた一人じゃありません。一生懸命に育てているとそうなりがちです。
でも、その思いが強いほど、子どもを“白か黒か”で見てしまい、親子ともに苦しくなることがあります。
頑張りすぎちゃう前に、そして「今ここ」で気づいたら一緒に立ち止まって振り返ってみましょう。
本記事では、記録と声かけで白黒思考を和らげ、白でも黒でもない優しい中間地帯――“パステルゾーン”へシフトする方法を、BUDジャーナル©GROWseedsを軸に具体的に紹介します。
もし私のことに興味がある方は、【プロフィール・実績】をご覧ください。
白黒思考とは?
白黒思考とは、物事を「できた/できない」「正解/不正解」と極端に二分してしまう考え方です。0→100思考なんて言い方もありますね。聴いたことありますか?
小さなミスがあるだけでも「失敗=すべてダメ」と感じやすく、子どもだけでなく親にも起こりがちな傾向です。これは、そう考えてしまう人が悪いというより、性質で合ったり、世代として受け継がれてきたこともあったりするそうです。
完璧主義:「ちゃんと最後までやらせなきゃ」と思いすぎる。
最後までやるのが当たり前の価値観
極端なジャッジ:「できた=OK、できない=ダメ」と判断する。
過度な義務感:「〜しなきゃ」「〜ねばならない」が強すぎる。
グレーを許せない:途中や未完成を認めにくい。
このような思考は子どもにどんな影響を与えるでしょうか。
プレッシャーを強く感じて癇癪やパニックが増えたり、「やらない!」と挑戦を避けることにつながります。親の「きちんと子育てしなきゃ」の思いが強すぎるほど、子どもは「失敗してはいけない」と縮こまり、本来の力を出しにくくなります。結果として、親子で苦しくなってしまうのです。でも、だからと言って、緩めすぎてしまうのも心配ですよね。
しかも、親のせいだけでなく、その子の特性として白黒思考になりやすい場合もあります。親子双方が気づかないうちに刺激し合い、白黒思考に陥っていることもあるのです。あなたの身の回りはいかがでしょうか。
私はこの世は、白と黒だけの世界ではなく、実際にはたくさんの色が広がってると伝えています。その多様な色合いを私は「パステルゾーン」と呼んでいます。個性豊かな色の世界に立っていきましょう。そこに立つことで、世界はやさしく色づきます。色があるから人生に彩りがあり、失敗があるから人に優しくなれることもあります。転んだからこそ出会える花もあります。そんなふうに、白でも黒でもない場所で生きることが、親子にとって心を軽くする第一歩になると信じています。
学校と家庭での事例
- 学校での例:テストで95点を取ったのに「あと5点が足りない」と涙を流す子がいたりします。また100点を期待していたため、テスト用紙を破ってしまい癇癪をおこす子も・・・。ただ悲しかっただけなんです。失敗を恐れて、なわとびや行事等、新しい挑戦を避けたい気持ちが出てくることもあります。
- 家庭での例:朝の準備でひとつでも抜けると「今日はもう無理、行かない」と動けなくなる子の相談を受けたこともあります。大人も「宿題はしっかり出さなくちゃ」「ご飯は全部いつでもきれいに食べるのが当たり前!」など、何かのこだわり・価値観がある場合があります。大人も子供も一緒に苦しくなってしまうことがありませんか。
なぜ親は白黒思考に陥るのか
では、なぜ親は白黒思考に陥りやすいのでしょうか。背景にはいくつかの要因が考えられます。
- 育児のプレッシャー:「しっかり育てなければ」という思いが強すぎる。または、周りからプレッシャーを感じている場合も。子どもへの愛を感じていて精一杯子育てしている方ほど感じやすいですよね。
- SNSでの比較:他の子の成長や成果と比べて焦る。習い事での比較(サッカー/野球/チアリーダーなど)も影響しやすい。
- 自身の経験:自分が完璧を求められて育った場合、同じ基準で子どもを見てしまう。育ってきた環境や価値観は無意識に子育てに反映される。
「子どもを守りたい」という強い愛情が、時に極端な指導につながることもあります。しかし、その結果、子どもを追い詰めてしまう…。ここに白黒思考の落とし穴があるのです。私も自分の子育て、教師の子としてみられるという思い込み、自分の親にされてきたこと様々な落とし穴があったと今気づけています。
今日からできる実践|BUDジャーナリング3ステップ
GROWseedsとして考案したBUDジャーナルについて説明します。
BUDという単語自体には「芽」や「つぼみ」という意味があります。春に芽吹き、花を咲かせていく姿は、まさに子どもの成長や再生の可能性を象徴しています。また、カジュアルな表現では「仲間」という意味もあり、伴走する仲間と共に小さな芽を育てるイメージにも重なります。
つまりBUDジャーナリングは、親や支援者が子どもと一緒に芽吹きを見守り、成長の可能性を広げていく方法でもあるのです。BUDジャーナルの全体像は[こちら(現在作成中)]で紹介しています。
さらにBUDはそれぞれの頭文字でも意味を持っています。
- Breath/感情の書き出し
深呼吸し、今の気持ちを一言メモ。「イライラ」「不安」などでOK。自分を見つめるきっかけになります。
【公式LINEで、感情ラベリングシートを配布しています】 - Understand/分けて理解する
事実と感情(できれば価値観)を分けて書く。
例:「宿題をまだやっていない(事実)/私は怒りが湧いている(感情)/宿題を出すのは当たり前・勉強ができないと将来が心配(価値観)」。 - DO/次の小さな一歩
「まず1問だけ声をかける」「先生に相談してみる」など、できることを小さく書く。白黒ではなく、淡い色合いの一歩を選ぶ練習です。
失敗してもしなやかに立て直せる力を育てる声かけと環境調整の工夫
声かけ例:
◎「間違っても大丈夫、やり直せるよ」「今日はここまででいいね」
△「だめじゃない!」「ここ間違ってるよ!」\
環境調整:その子の色(特性)によって変えるとよいと思います。ぜひ個別相談等でアドバイスもらってくださいね。
- タイマーを短く設定する/子どもができるかもと思えるスモールステップから/持ち物を小分けに準備する/見通しを絵やカードで示す
学校との連携
記録したBUDジャーナリングの一部を先生に伝えると、子どもの状況を共有しやすくなります。「事実」「感情」を分けた記録は、先生も理解しやすく、合理的配慮の工夫にもつながります。もっとまとめるSEEDSメモ©GROWseedsというものもこうあんしております。SEEDsメモについてはまた違うコラムで紹介しますね。詳しい相談方法は[ご相談メニュー]や[おしゃべり会]をご覧ください。
まとめ|パステルゾーンの暮らしへ
失敗は終わりではなく、次の一歩の合図です。白黒思考をやわらげる第一歩は、「まあいっか」「大丈夫かも」とつぶやくこと。7割でOK、完璧じゃなくても大丈夫と考える練習を重ねましょう。
大人も子供も白黒ではなく、パステルゾーンで大丈夫。
イメージしてみましょう。
硬くごつごつした思考・心で子育てをするのと、柔らかくしなやかな思考・心で子育てをするのと、どちらがよいでしょうか。
白黒思考と、パステルゾーンの思考。

大人がBUDジャーナリングを少しの時間でできるようになると、「息をつく→分ける→小さな一歩」を積み重ねることができます。その効果は、白黒の間にあるカラフルな“パステルゾーン”を楽しむ力が育つのです。\
GROWseedsは、記録と声かけで親と支援者がしなやかに子どもと向き合い、安心できる未来を一緒に作っていきたいと考えています。
ご相談や勉強会の詳細は[こちら]からどうぞ。
ご案内|一緒にパステルゾーンを広げていきませんか?
- 個別相談:30分トライアル/就学・声かけ・家庭環境の整え方
- 保護者おしゃべり相談会:安心して話せる少人数オンライン/毎月開催
- 法人・学校向け研修:白黒思考の理解と支援/記録の活用・合理的配慮の基礎
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